倫理観をつくる要素(ジョナサン・ハイト Jonathan Hidt)

価値観の違い。あるいは、世界観・思想が違うと言ってしまえば、それ以上の理由は必要がないくらい、大きな違いになります。BREXITや大統領選で、欧米では価値観が二分されてきているという議論を最近よく聞きますが、この「価値観の違い」という捕らえ所のない命題をひも解く鍵になる意見を発しているのが、ジョナサン・ハイト氏です。

 

彼は、モラリティ(倫理観)の要素は主に5つあり、これらの優先度の違いが価値観の違いとして現れているという傾向を示しています。

 

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  1. Harm/Care 危害/親切
  2. Fairness/Reciprocity 公正さ/互恵関係
  3. Ingroup/Royalty グループ性/忠誠
  4. Authority/Respect 権威/尊敬
  5. Purity/Sanctity 純粋さ/高潔さ

これは2008年の動画ですこし古いので、そこから今までレビューを受けてこのフレームワークは進化しているようで、6つ目にliberty(vs oppression)が入るという説もあります。この5つの要素のうち、1、2に特に重きを置くのがリベラル、3、4、5に重きを置くのが保守、という調査結果が出ているとのこと。

 

「昨今、倫理観といえば1、2のことであるかのような論じ方がされているが、人間が有する倫理観の要素には3〜5もある」ことが、二分化された価値観を理解するうえで重要だということを言っています。

 

というのも、いわゆる有名大学の左傾化が進んでおり、キャンパスにおける倫理観の多様性がなくなっているのが問題だ、という危機感も持っているようです。人種や民族的な観点からの「多様性」は進んできたものの、「倫理観」という切り口でみると学生の多様性がなくなってきているというのです。

 

私は、なるほど多様性は重要だし、ハイト氏の言うように「Social Justice Worrior」な学生が意見の多数派を占める現状が、行き過ぎた「公平さ」侵害へのデモやパフォーマンスにつながっていることもあるかもしれないと思いましたが、彼が提案するように「倫理観の審査を入学審査に含める」ことには反対です。多様性の必要性を冠にした思想統制につながりかねないのでは?と思います。

 

というように、個人的に大げさな表現はあるような気はしたものの、興味深く聞けたPodcastはコチラ。

 

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